安全なヨット[ハンザ]の特長

ハンザとは

安全だから誰でも楽しめるヨット、ハンザ。

 

ヨットの中でも小型の1~2人乗りのものを『ディンギー』と呼びますが、これは簡単に操れるものではありません。

 

そこで、オーストラリアのクリス・ミッシェル氏が『誰でも乗れるように』と考案したのがハンザです。

 

このハンザは、子どもから高齢者の方、障がい者の方も難しい練習などをせずに簡単に帆を操って船を走らせることができます。

 

2001年に日本でセイラビリティ活動が始まるとともに、国内のハンザの普及がスタートし、幼児・青少年の育成や社会福祉として大変有意義な活動になっております。

 

 


ハンザが安全な理由

ハンザは航行を安定させるためのセンターボードがあります。

センターボード下部に鉛のおもり(バラスト)が入っており、そのおもり(バラスト)が帆にあたる風の力を押え、船を直進させると同時に復元力となり船の転覆を防ぎます。 

センターボードは取外し可能なので、安定・安全性を確保するため海上では常に完全に下まで降ろし、ピンで固定する必要がありますが、これは最も重要なことです。


固定したセンターボードはキールと呼ばれており、その意味でハンザはディンギーではなくキールボートです。これはハンザの設計上、安定と安全の確保の上で極めて重要であり、ハンザの特徴でもあります。

船底部はハンザ固有の形状にして、安定性を向上させています。


次にキール(センターボード)は船体から取り外し可能で上下架時には船底には障害物がありません。キールはバラスト(重り)としてシーソーのような働きをします。シーソーの一方の端はマストとセール(帆)で、船が傾くとキール下の鉛の重りが上がり、傾けばその反作用の復元力は効果的に強くなります。

  

ハンザのLiberty、2.3および303シングルモデルは、サイドデッキを広くして船が傾いた時に充分な浮力を確保しています。また、乗船者を安全に着席させるためでもあります。

座席(コックピット)を囲っている両側の縁(コーミング)の浮力は、船中央のキールから離れたおり、「てこの原理」で有効な復元力になります。これらすべては、小さな船でありながら使いやすく、安全なヨットにするたの重要事項であり、そこに設計が集約されています。

上記写真の海の中に白く写っているのは

20キロから40キロのセンターボード(オモリ)。

船底から1メートル以上水中に伸びているため、

「ダルマさん」や「起き上がり小法師」の原理で転覆を防ぎます。

コックピット(座席)の囲いが深く、

周囲は空洞になって浮力を生みます。


そのため荒天時大きく船が傾いても人が落ちることなく

帆走が維持できます。


ハンザを安全に楽しむために

1.救命胴衣を確実に着用すること。

口や鼻が水面より上になるように、股ひもを付けること。桟橋からハンザに乗り降りする際に起こりうる万が一の可能性を考慮し、ハンザに乗らなくても桟橋に立ち入る際には救命胴衣を必ず着用すること。

また走行中に身を乗り出すと投げ出される可能性があるため、走行中は着席する必要があります。

 

2.キールは全て下まで降ろし、ピンで固定してから出艇すること。

長いピンは、2.3、303、およびLibertyの標準のキール固定する部品です。ピンが正しく挿入されていることを確認する必要があります。追加の安全装置として、右の写真のようにショックコード等で固定することをお勧めします。

    

3. 適切なファーリングのぎ装をすること。

ファーリングリーフシステム(巻き取り式縮帆)は、すべてのハンザのユニークな特徴です。殆どのヨットはリーフできますがハンザほど効率的で簡単なものはありません。 最も大切なことは、乗船者がその使用方法を事前に習得することです。

多くの場合リーフは1回転で十分で、セールに当る風の力を逃がして、傾斜を減少させることができます。しかし、乗船者がシートベルトなどの安全装置を使用している場合は独自でリーフが出来ないため、その場合は経験者に相談し、適切なリーフをすることが重要です。

 

ピンの固定


ハンザ303 ローラーファーリング


正しいジブセールの取付方

左:正しいジブセールの取り付け
右:間違ったジブセールの取り付け


ハンザの考案者クリス・ミッチェル氏(Chris Mitchell)の紹介

ユニバーサルデザインとは、たとえば大きなパドル型の電灯用スイッチ・普通より幅の広いドア・階段にしないでスロープにするというように誰もが使えるように設計することを言います。

 

このちょっとした工夫は障がいのある人だけでなく、小さな子どもからお年寄りまでというように、ユニバーサルデザインはあらゆる人の生活をずっと楽にしてくれるのです。

 

ユニバーサルデザインは、誰をも差別しない実用に即したデザインであり、ハンザはその優れた一例です。そして「 セイラビリティ活動」も、誰もが参加できるプログラムという点でユニバーサルデザインの一例です。

 

事実、ハンザはヨットに乗りたいと思っていても体力的に自信がなかったり、操作が複雑だったり、お金がかかるという理由で一歩を踏み出せないでいる大多数のセーリング未経験者に、特に喜ばれるようデザインされています。私たちは誰もがセーリングを楽しめるような活動を推進しています。

 

ハンザのような小さなヨットがセーリングの入門艇としてもっと広く使われるようになれば、障がいの有無に関係なく、幼児から老人まで、世界中で多くの人たちがセーリングを楽しむことができるようになるでしょう。

 

さらに私たちは、セーリングをする機会に出会えなかった人々が参加できるリクリエーションを提供できるようにしています。それが実現すれば素晴らしいことです。皆と肩を並べて参加できることが、障がい者の方々の望みではないでしょうか。


お問い合わせ先

一般社団法人ハンザ・セイリング・ジャパン

〒516-0001 三重県伊勢市大湊町1125-10

TEL 090-2615-9766
MAIL info@hansajapan.com